小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、明治時代に日本を訪れ、特に松江の風土や文化に深く魅了されました。
彼は松江の伝統文化や美しい風景を愛し、また、松江の食文化にも強い関心を抱いていました。
本章では、八雲が愛した松江の文化と、彼が好んでいた料理について詳しく掘り下げていきます。
1. 八雲が愛した松江の文化
(1) 松江の伝統と風習
松江は、城下町として発展し、武家文化や茶の湯文化が根付いた町です。
八雲は、日本の伝統文化に深く関心を寄せており、特に松江の静かで落ち着いた雰囲気を好みました。
茶の湯文化: 松江は、茶道の盛んな町であり、八雲も茶会に参加し、抹茶や和菓子の魅力に触れました。
神社仏閣巡り: 八雲は、日本の神道や仏教に強い関心を持ち、松江にある神社や寺院をよく訪れていました。
伝統工芸: 松江の和紙や焼き物にも興味を示し、民芸品を収集していたとされています。
(2) 祭りと民間伝承
松江では、年間を通じて様々な祭りが行われています。
八雲は、祭りを通じて日本の民間伝承や伝統芸能に触れ、それを作品に活かしました。
ホーランエンヤ: 日本三大船神事のひとつで、5年に一度開催される大祭。
松江水郷祭: 夏に宍道湖で行われる花火大会で、八雲もこの風景を楽しんだと伝えられています。
2. 八雲が好んだ松江の食文化
(1) 松江の食の特徴
松江は、宍道湖や日本海に面し、新鮮な魚介類が豊富な町です。
また、茶の湯文化が盛んなため、和菓子も発展してきました。八雲は、これらの松江ならではの味を楽しんでいたといわれています。
(2) 八雲が愛した松江の料理
① 宍道湖七珍(しんじこしっちん)
八雲は、宍道湖で獲れる魚介類を特に好んでいたとされています。
宍道湖七珍とは、宍道湖で獲れる代表的な七つの食材を指します。
シジミ(蜆): 栄養価が高く、味噌汁の具として親しまれる。
モロゲエビ(藻屑蝦): 小ぶりながら濃厚な味わいのエビ。
スズキ(鱸): 旬の時期には刺身や塩焼きで楽しまれる。
コイ(鯉): 甘露煮や洗い(刺身)として食される。
ウナギ(鰻): 蒲焼きや白焼きで食べられる松江の名産。
シラウオ(鮊): 繊細な美しさで知られており、お刺身や卵とじ、かき揚げなどで食べる。
アマサギ(公魚): 天ぷらや煮つけとして親しまれる。
② 出雲そば
松江周辺で食べられる「出雲そば」も、八雲が好んだ食べ物の一つです。
特徴は、そばの実を殻ごと挽いた「割子そば」や「釜揚げそば」。
割子そば: 丸い三段の器に盛られ、薬味とつゆをかけて食べる。
釜揚げそば: 茹でたそばを温かいつゆにつけて食べるシンプルなスタイル。
③ 和菓子と抹茶
(画像引用:しまね観光なび https://www.kankou-shimane.com/gourmet/wagashi)
松江は、茶の湯文化が盛んなため、和菓子の名店が多くあります。
八雲も、抹茶とともに和菓子を楽しんでいたとされています。
若草: 松江を代表する銘菓で、ふんわりとした餅菓子。
薄小倉: 小豆を寒天で固めた上品な甘さの和菓子。
山川: しっとりとした食感の小豆餡入りの焼き菓子。
3. 八雲が語る松江の食の魅力
八雲は、自身の随筆の中で、日本の食文化についてたびたび言及しています。
特に松江の料理については、「素材の味を活かした繊細な料理が多く、食事そのものが芸術のようだ」と述べています。
また、八雲は「日本の料理は目で楽しみ、舌で味わい、心で感じるものだ」とも語っており、松江の食文化に深く感銘を受けていたことがわかります。
まとめ
小泉八雲は、松江の文化や食に魅了され、その魅力を作品の中で表現しました。彼が愛した松江の伝統や料理は、今もなお多くの人々に親しまれています。
松江を訪れる際には、八雲が愛した食文化を味わいながら、彼の世界観に思いを馳せるのも楽しみの一つになるでしょう。
参考サイト
https://www.hearn-museum-matsue.jp/ (小泉八雲記念館)
https://www.kankou-matsue.jp/ (松江市観光公式サイト)
https://www.jnto.go.jp/ (日本政府観光局)